「catch up」「catch on」を完全マスター!意味と使い方を例文で徹底解説【ビジネス・日常会話】
英語の基本的な動詞「catch」は、ボールを「捕る」という意味でお馴染みですが、前置詞と組み合わさることで全く異なる意味を持つ「句動詞」に変化します。その中でも特に重要で、ネイティブの会話で頻繁に登場するのが「catch up」と「catch on」です。
「最近、仕事の進捗どう?」「うん、なんとかキャッチアップしてるよ」のように、日本語のビジネスシーンでも使われることがありますが、本来の英語のニュアンスを正しく理解できているでしょうか? [3, 5] 特に、「追いつく」と言いたい時に、安易に “follow” を使ってしまうと、意図が正しく伝わらない可能性があります。 [18]
この記事では、英語初心者や、句動詞の使い分けに自信がないビジネスパーソンに向けて、「catch up」と「catch on」という二つの便利表現を徹底的に解説します。それぞれのコアイメージから、ビジネス、学習、日常会話といった具体的なシーンでの使い方、そして間違いやすい類義語との違いまで、豊富な例文と共に掘り下げていきます。この記事を読めば、二つの”catch”系フレーズを自信を持って使いこなせるようになり、あなたの英語表現はより自然で豊かになるでしょう。
便利表現①: Catch up – 「追いつく」を表す多用途フレーズ
まずはじめに、おそらく最もよく耳にするであろう「catch up」から見ていきましょう。このフレーズは一つの意味だけでなく、文脈によって様々なニュアンスを持つ非常に便利な表現です。
「catch up」のコアイメージと意味
“Catch up”の基本的な意味は「追いつく」「遅れを取り戻す」です。 [2, 8] 先を行く人や、基準となるレベルに対して、自分が遅れている状態から努力してその差を埋める、というニュアンスが含まれます。 [2] ポイントは、何もしなくても自然に差が埋まるのではなく、自らの努力でギャップを埋めるという積極的な行為を暗示している点です。
このコアとなる意味から、いくつかの用法が派生しています。
- 物理的な遅れや進捗を取り戻す
仕事や勉強などで他に遅れを取ってしまった際に、「溜まったタスクを片付ける」「休んだ分の勉強を取り戻す」といった文脈で使われます。 [5, 9] “catch up on 〜” の形で「(溜まっていた)〜をやる」、“catch up with 〜”で「〜(人や物)に追いつく」と表現するのが一般的です。 [10] - 久々に会って近況を報告し合う
友人や同僚と久しぶりに会った際に “Let’s catch up!” と言えば、これは「お互いに会っていなかった間の情報(=遅れ)を取り戻そう」という意味になり、「久しぶりに積もる話をしようよ」という自然な誘い文句になります。 [4] この用法では、「近況報告」という名詞的な意味合いも持ちます。
このように、「catch up」は「遅れを取り戻す」という中心的なイメージから、物理的な進捗だけでなく、情報や人間関係のギャップを埋める意味にも広がる、非常に応用範囲の広い句動詞です。
シーン別「catch up」の使い方と例文
では、実際の会話でどのように使われるのか、具体的なシーンごとに見ていきましょう。
ビジネスシーン
プロジェクトの進捗確認や、会議の内容把握など、情報共有が重要なビジネスの現場で頻繁に使われます。
例文:
- “I was on vacation last week, so I need to catch up on a lot of emails.” (先週は休暇だったので、たくさんのメールに目を通さないといけません。)
- “Could you give me a brief summary to help me catch up with the project’s progress?” (プロジェクトの進捗に追いつくために、簡単な要約をいただけますか?)
- “We need to work extra hours to catch up with the production schedule.” (生産スケジュールに追いつくためには、残業する必要があります。)
学習・勉強シーン
授業を休んでしまった時や、学習の遅れを取り戻したい時などにも最適な表現です。
例文:
- “If you miss too many classes, it’s really hard to catch up.” (授業を休みすぎると、追いつくのが本当に大変だ。)
- “I spent the whole weekend trying to catch up on my history assignments.” (週末は丸一日かけて、溜まっていた歴史の宿題を片付けようとしました。)
カジュアルな会話
友人との会話では、「久しぶりに会って話す」という意味で非常によく使われます。
例文:
- “It’s been ages! We should catch up over coffee sometime.” (すごく久しぶり!今度コーヒーでも飲みながら近況報告しようよ。)
- “It was so great catching up with you today. Let’s not wait so long next time.” (今日は久しぶりに話せて本当に楽しかったよ。次はあまり間を空けずに会おうね。)
【注意】日本人が間違えやすいポイント
「キャッチアップする」の誤用:「keep up」との違い
日本語のビジネス用語で「最新情報をキャッチアップする」と言うことがありますが、これをそのまま英語にすると不自然に聞こえる場合があります。 [3] 英語の “catch up” は「遅れている状態から追いつく」ニュアンスが強いため、常に最新情報を把握し、遅れないようにしている状態を表現するには “keep up with” を使うのがより自然です。 [2, 4]
- Catch up with the news: (見逃していた分の)ニュースの内容を把握する (遅れを取り戻す)
- Keep up with the news: (常に)最新ニュースを追い、時事に遅れないようにする (現状を維持する)
この違いを意識するだけで、より正確なニュアンスを伝えることができます。 [2]
「follow」との違い
「会議の内容についていけない」と言う時、初心者は “I can’t catch up with the discussion.” と言いがちですが、この場合は “I can’t follow the discussion.” の方が適切です。”follow”には「話の流れを理解しながらついていく」という意味があります。 [18] 一方で “catch up” を使うと、一度議論から脱落してしまい、その遅れを取り戻そうとしている状況を示唆します。リアルタイムで進行中の事柄を理解する際には “follow” を使いましょう。
便利表現②: Catch on – 「理解する・流行する」を表す表現
次に、”catch up” と響きが似ていて混同しやすい “catch on” を見ていきましょう。こちらもネイティブがよく使う表現ですが、意味は全く異なります。
「catch on」のコアイメージと意味
“Catch on” には大きく分けて2つの意味があります。 [11] 語源のイメージは「catch(捕まえる)+ on(接触・定着)」。何かが人々の心や頭に「くっついて離れない」様子から、以下の意味が生まれました。 [14]
- (物事が)流行する・人気を博す
新しい歌やファッション、アイデアなどが人々の間で広まり、人気が定着する様子を表します。 [14, 17] 主語には「物事」が来ることが多いです。 - (人が)理解する・わかる
最初は分からなかった冗談の意味や、話の要点などを「なるほど!」と理解する、飲み込む様子を表します。 [13, 16] こちらは主語に「人」が来ます。「~を理解する」と目的語を続けたい場合は “catch on to ~” のように “to” が必要です。 [14]
シーン別「catch on」の使い方と例文
ビジネス・社会シーン
新製品やサービスが市場でヒットするか、あるいは社会的なトレンドについて語る際に使えます。
例文:
- “This new app is starting to catch on among teenagers.” (この新しいアプリは、10代の間で流行り始めています。)
- “We were worried the new design wouldn’t catch on, but sales have been great.” (新しいデザインは受け入れられないかと心配していましたが、売上は好調です。)
日常会話
冗談の意味が分かった時や、誰かが状況を察した時などに気軽に使えます。
例文:
- “He didn’t catch on to the joke at first, but then he suddenly started laughing.” (彼は最初その冗談が分からなかったが、突然笑い出した。)
- “She’s very quick to catch on to new things.” (彼女は新しいことへの飲み込みがとても速い。) [16]
「catch up」との混同に注意
前述の通り、”catch up” は「追いつく」、”catch on” は「流行する・理解する」です。音が似ているため混乱しやすいですが、意味は全く違います。人が主語なら「理解する」、物が主語なら「流行る」のが “catch on”、遅れを取り戻すのが “catch up” と整理して覚えましょう。
【一覧表】”追う”に関連する類義語との違いまとめ
「catch up」の周辺には、似ていて紛らわしい動詞がいくつか存在します。ここで一度、それぞれのニュアンスの違いを表で整理しておきましょう。
表現 | コアニュアンス | 主な使い方・例文 |
---|---|---|
catch up (with/on) | 遅れを取り戻す、追いつく | I need to catch up on my work. (溜まった仕事に追いつかないと) |
keep up (with) | 遅れずについていく、維持する [12] | It’s hard to keep up with the latest technology. (最新技術に遅れずについていくのは大変だ) |
follow | 後に続く、(話を)理解する | I couldn’t follow his logic. (彼の論理が理解できなかった) |
chase (after) | 物理的に追いかける、追跡する [23] | The cat is chasing a mouse. (猫がネズミを追いかけている) |
follow up | 追跡調査する、追加対応する [18, 21] | I will follow up with an email tomorrow. (明日、メールでフォローアップします) |
まとめ
今回は、英語の重要な句動詞である「catch up」と「catch on」について、その意味と使い方を詳しく解説しました。 [1]
- Catch up: 「追いつく、遅れを取り戻す」。仕事や勉強の遅れ、友人との近況報告など、幅広い「ギャップを埋める」状況で使える。 [19]
- Catch on: 「流行する、人気が出る」または「理解する、わかる」。物事が世間に広まる様子や、人が何かを理解する瞬間に使える。 [11]
これらの句動詞は、日常会話からビジネスシーンまで、コミュニケーションを円滑にするための鍵となります。 [20, 22] 特に “keep up” や “follow” といった類義語とのニュアンスの違いを理解することで、より正確で自然な英語表現が可能になります。 [2, 18] まずは例文を参考にしながら、実際の会話で少しずつ使ってみることから始めましょう。これらのフレーズをマスターすれば、あなたの英語力は確実に一段階レベルアップするはずです。