【完全版】「折り合いをつける」の英語表現|感情の受容からビジネス交渉まで徹底解説

【完全版】「折り合いをつける」の英語表現|感情の受容からビジネス交渉まで徹底解説

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「折り合いをつける」という言葉、皆さんはどんな時に使いますか?失恋の痛手から立ち直る時、どうしても好きになれない相手と仕事をしなければならない時、あるいはクライアントとの価格交渉…。日本語では一言で済むこの便利な言葉、英語では状況に応じて様々な表現を使い分ける必要があります。本記事では、そんな「折り合いをつける」を英語で自在に表現するための完全ガイドをお届けします。

日本語の「折り合いをつける」は、大きく分けて「自分の感情や困難な状況を受け入れる」場面と、「他者と交渉して妥協点を見出す」場面で使われます。 [47] 英語では、この2つの状況で使われるフレーズが異なります。この記事では、英語初心者の方でも理解しやすいように、各表現のニュアンスや使い方を、豊富な例文と共に丁寧に解説していきます。

感情・心情面で「折り合いをつける」 – 難しい現実や葛藤を受け入れる表現

まずは、自分の中で気持ちの整理をしたり、嫌な現実や葛藤を受け入れたりする際に使う「折り合いをつける」です。「自分の気持ちと折り合いをつける」「現実を受け入れる」といった文脈で使える英語表現を見ていきましょう。

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1. come to terms with ~(~を受け入れる/~と折り合いをつける)

意味: 困難な状況や事実を、時間をかけて受け入れること。 [5, 33, 34, 40] 特に、変えられない辛い現実を認め、精神的に順応しようとするプロセスを指します。 [41]

これは「折り合いをつける」を最も直接的に表す英語表現の一つです。困難な現実を受け入れる場合にも、相手との交渉で合意する場合にも使えますが、特に感情面で「(不本意なことを)受け入れる」という意味で頻繁に使われます。 [34, 40]

例文:

  • He is still trying to come to terms with his son’s death.(彼はまだ息子の死を受け入れられずにいる。)
  • She had to come to terms with the fact that her plans might not succeed.(彼女は、自分の計画が成功しないかもしれないという事実を受け入れなければなりませんでした。)

ニュアンス: 少し時間をかけて、困難な状況を「仕方ない」と納得していく過程を含みます。 [41] 完全にポジティブな受容というよりは、諦めに似た感情を伴うことが多いです。

2. make peace with ~(~と和解する/~を受け入れる)

意味: 人との争いを終えて和解する、または、自分の中の葛藤や過去の出来事を受け入れ、心の平穏を取り戻すこと。 [26, 42, 43]

文字通り「~と平和を作る」という意味で、主に対立していた相手と「仲直りする」際に使われます。 [46] また、比喩的に自分自身の過去や受け入れがたい事実と「和解する」という意味でも使われます。 [26]

例文:

  • After years of arguments, she finally made peace with her sister.(長年の口論の末、彼女はついに姉と和解しました。)
  • You need to make peace with your past to move forward.(前に進むためには、自分の過去と折り合いをつける必要があります。)

ニュアンス: come to terms withよりも、心の平穏や安らぎを取り戻すという前向きな響きがあります。争いや葛藤があった状態から、穏やかな状態へ移行するイメージです。

3. deal with ~(~に対処する/~と向き合う)

意味: 問題や困難な状況に「対処する」「処理する」という意味の非常に一般的な句動詞です。 [4, 11, 14] 文脈によっては、「(嫌な現実に)向き合い、何とかする」という意味で「折り合いをつける」の代わりとして使えます。 [12, 18]

例文:

  • It’s a difficult situation, but we have to deal with it.(厳しい状況だが、我々はこれに対処しなくてはならない。)
  • He is learning to deal with his new responsibilities.(彼は新しい責任にうまく対処することを学んでいるところだ。)

ニュアンス: deal withは非常にカジュアルで汎用性が高い表現です。 [11] 感情的な受容というよりは、「問題として認識し、それを処理・管理する」という実践的な側面に焦点が当たっています。 [14] 時には「文句を言わずにやれ」という少し突き放したニュアンスを持つこともあります。 [12]

4. reconcile oneself to ~(~を甘んじて受け入れる)

意味: 変えることのできない、好ましくない状況や事実に、自分自身を納得させ、諦めて受け入れること。 [28, 35, 36, 38, 44]

これはフォーマルで少し硬い表現です。「自分自身 (oneself) を状況と和解させる (reconcile)」という成り立ちで、「観念する」「甘受する」といった日本語が近いでしょう。

例文:

  • He finally reconciled himself to the fact that he would never become a professional musician.(彼はついに、プロの音楽家にはなれないという事実を甘んじて受け入れた。)
  • She had to reconcile herself to a life of solitude.(彼女は孤独な人生を甘んじて受け入れるしかなかった。)

ニュアンス: 諦めの色が濃く、抵抗をやめて運命などに身を委ねるという、やや重い響きがあります。 [35, 38] 日常会話よりも書き言葉や公式なスピーチなどで使われることが多いです。

これらの表現を使い分けることで、感情の機微をより豊かに表現することができます。下の表で、それぞれのニュアンスの違いを比較してみましょう。

表現 中心的な意味 ニュアンス フォーマル度
come to terms with 困難な事実を受け入れる 時間をかけた、諦めを伴う受容
make peace with 和解する、平穏を得る 葛藤の解消、前向きな受容
deal with 対処する、処理する 現実的に向き合う、実践的
reconcile oneself to 甘んじて受け入れる 抵抗を諦める、観念する

ビジネス・交渉で「折り合いをつける」 – 合意形成のための英語表現

次に、ビジネス交渉や意見調整の場で、互いに譲歩し「合意に至る」という意味での「折り合いをつける」を見ていきましょう。交渉をスムーズに進めるための必須フレーズです。 [3, 7, 9]

会議 交渉 合意

1. reach an agreement(合意に達する)

意味: 交渉や議論の末、双方が納得する結論に「到達する」こと。 [27, 29, 39] ビジネスシーンで最も一般的に使われるフォーマルな表現です。 [32]

例文:

  • After weeks of negotiation, both parties finally reached an agreement. [30](数週間にわたる交渉の末、両者はついに合意に達しました。)
  • We hope to reach an agreement on the new contract by the end of the week.(今週末までに新しい契約について合意に達したいと考えています。)

ニュアンス: 公式な合意や契約締結など、最終的な決着がついた状態を指します。 [27] 「Come to an agreement」もほぼ同じ意味で使われます。

2. meet (someone) halfway(歩み寄る、妥協する)

意味: 相手と自分の要求の中間点で合意するために、互いに譲歩すること。 [6, 10, 13, 16, 21]

「中間地点で会う」という直訳から、「お互いに歩み寄る」というイメージが分かりやすい表現です。 [13, 16] 口語的で、交渉の場で妥協を提案する際によく使われます。

例文:

  • The price is a bit high. Can you meet me halfway? [8](その価格は少し高いです。中間で折り合いをつけることはできませんか?)
  • If you can agree to our delivery schedule, we can meet you halfway on the price.(もし我々の納品スケジュールに同意いただけるなら、価格面で歩み寄ることができます。)

ニュアンス: 「自分も譲歩するから、あなたも譲歩してほしい」という、ギブアンドテイクの精神を表します。 [15] フォーマルな契約書などには向きませんが、交渉中の会話では非常に実用的なフレーズです。

3. find common ground(共通点を見出す)

意味: 対立する意見の中で、双方が同意できる「共通の土台」を見つけること。合意形成の出発点を探る行為を指します。

例文:

  • Before we discuss the details, let’s try to find some common ground.(詳細を議論する前に、まずは何か共通点を見つけましょう。)
  • The two leaders met to find common ground on environmental issues.(両首脳は環境問題に関する共通の土台を見出すために会談した。)

ニュアンス: 直接的な合意ではなく、合意に至るための「とっかかり」を探す段階で使われます。「お互いが納得できる部分を探りましょう」という、協調的な姿勢を示すことができます。

4. strike a deal(取引をまとめる)

意味: 交渉の末、取引や契約を「成立させる」こと。 [1, 2, 24, 25] 特に、交渉がうまくいき、最終的に手を打つことができたという達成感を含む表現です。 [19, 27]

例文:

  • We managed to strike a deal with the supplier for a 10% discount.(我々は供給業者と交渉し、10%割引の取引をまとめることに成功した。)
  • The two companies struck a deal to merge next year. [1](その2社は来年合併することで合意した。)

ニュアンス: reach an agreementと似ていますが、より「交渉をうまく妥結させた」というポジティブで少しインフォーマルな響きがあります。 [2] ニュースの見出しなどでもよく使われます。

5. compromise(妥協する)

意味: 「妥協(する)」という、まさに「折り合いをつける」行為そのものを指す単語です。動詞としても名詞としても使えます。

例文:

  • Both sides need to be willing to compromise.(双方が妥協する意思を持つ必要がある。)
  • We finally reached a compromise after a long discussion.(長い議論の末、我々はついに妥協点に達した。)

ニュアンス: 中立的な言葉ですが、「原則を曲げる」といったネガティブな文脈で使われることもあるため注意が必要です。(例: We will not compromise on quality. – 品質については妥協しません。)

ビジネスシーンでは、交渉の段階に応じてこれらの表現を使い分けることが成功の鍵となります。 [7]

表現 中心的な意味 使われる交渉段階 フォーマル度
find common ground 共通点を見出す 序盤~中盤
meet halfway 歩み寄る、妥協する 中盤 低~中
compromise 妥協する 中盤~終盤
reach an agreement 合意に達する 終盤(公式)
strike a deal 取引をまとめる 終盤(妥結)

まとめ:状況に応じて最適な「折り合い」表現を

この記事では、「折り合いをつける」という日本語に対応する多様な英語表現を、①感情・心情面と②ビジネス・交渉面の2つのシナリオに分けて解説しました。

感情面で「受け入れる」時は、心の状態や受容の度合いによって come to terms with, make peace with, deal with などを使い分けます。

ビジネスで「合意する」時は、交渉の進捗やフォーマル度に応じて reach an agreement, meet halfway, strike a deal などを選択します。

日本語の便利な一言も、英語ではこれだけ多くの表現に分かれます。それぞれのフレーズが持つ微妙なニュアンスを理解し、文脈に合わせて使い分けることで、あなたの英語表現はより正確で、深みのあるものになるでしょう。まずは、自分が使いやすいと感じるフレーズから、実際の会話やメールで試してみてください。