「計画を実行する」英語表現の使い分け!carry out, implement, roll outの違いを初心者向けに解説

「計画を実行する」英語表現の使い分け!carry out, implement, roll outの違いを初心者向けに解説

ビジネス 計画 戦略

ビジネスやプロジェクトで「計画を実行に移す」と英語で言いたいとき、多くの方が最初に思い浮かべるのは execute a plan かもしれません。しかし、ネイティブスピーカーは状況に応じて carry out, implement, roll out といった様々な表現を巧みに使い分けています。これらはすべて「計画を実行する」という意味を持ちますが、実はそれぞれニュアンスや使われる場面が少しずつ異なります。この記事では、これらの表現をプロジェクトの段階ごとに整理し、それぞれの意味や語源、実務での使い方を初心者にも分かりやすく解説します。難しい専門用語は避け、具体的な例文を交えながら、あなたのビジネス英語の表現力を一段階引き上げるお手伝いをします。

「計画を実行する」英語表現はたくさんある

一口に「計画を実行する」と言っても、英語には複数の言い方があります。carry out, implement, roll out, execute などが代表的ですが、文脈によっては enforce(施行する)や put into practice(実践する)なども使われます。 [19] 基本的にこれらはどれも「実行する」という同じ意味を持ち、フォーマルな場面でも使用できます。では、なぜこんなに多くの表現が存在するのでしょうか?それは、言葉が持つ微妙なニュアンスの違いや、どのような言葉と一緒に使われるか(コロケーション)が異なるためです。ネイティブスピーカーは「何を実行するのか」「プロジェクトのどの段階か」によって、最もふさわしい動詞を選んでいます。 [29] 例えば、以下のように使い分けられます。

  • 規則や法律の実施: enforce (例: enforce a law 法律を施行する)
  • 対策や政策の実行: implement (例: implement a policy 政策を実行する) [20]
  • 企画・計画の実行: carry out (例: carry out a plan 計画を実行する) [3]

これらは一例ですが、このように文脈に応じた使い分けが大切です。本記事では特に重要な carry out, implement, roll out の3つに焦点を当て、それぞれの意味や使い方を詳しく見ていきましょう。

carry out ~「計画を(指示どおりに)遂行する」

carry out(キャリーアウト)は、「(計画・任務などを)実行する、成し遂げる」という意味を持つ句動詞(動詞+副詞のセット)です。 [3, 28] 直訳すると「carry(運ぶ)+ out(外へ)」となり、「物を運び出す」という意味から転じて、「物事を最後まで運び、やり遂げる」というニュアンスで使われるようになりました。 [3, 8, 14] 軍隊で「任務を遂行せよ!」(Carry out your duties!) のように使われてきた背景もあり、「与えられた指示や計画をその通りに行う」というニュアンスが根底にあります。

ニュアンス・使い方

carry out は日常会話からビジネスまで幅広く使える非常に便利な表現です。「決められた計画や約束事をきちんと実行する」「与えられた任務や作業を最後まで成し遂げる」といった場面でよく用いられます。 [3] フォーマルすぎずカジュアルすぎないため、報告書から同僚との会話まで、様々な状況で自然に使えます。carry out は目的語として plan(計画)の他に、task(任務)、research(調査)、experiment(実験)など、様々な「実行対象」を取ることができます。

語源メモ

carry は「運ぶ」、out は「外へ」や「完了して」という意味です。 [8] 元々は「物を運び出す」という物理的な意味でしたが、やがて「任務などを最後までやり遂げる」という抽象的な意味でも使われるようになりました。 [3]

例文と解説

We will carry out the plan step by step.
(私たちはその計画を一歩一歩実行に移します。)

👉 大きな計画でも段階的に (step by step) 実行することで着実に遂行するという意味です。

The project team carried out research and understood the market needs.
(プロジェクトチームは調査を実施し、市場のニーズを把握しました。)

👉 carry out research は「調査を行う」という定番の表現です。ビジネスや学術の場でも頻繁に使われます。

All employees must carry out their duties responsibly.
(全社員は責任をもって職務を遂行しなければなりません。)

👉 carry out one's duties は「職務を遂行する」という少し硬い表現で、ビジネスの文脈でよく使われます。 [3]

implement ~「計画を(現場で)実施する・導入する」

implement(インプリメント)は、「(計画・政策・システムなどを)実行に移す、実施する」という意味の動詞です。 [12, 20] 日本語でも「実装する」「導入する」と訳されることが多く、特に新しい政策やITシステムの導入といった文脈でよく使われます。 [19, 22] もともと名詞では「道具」という意味があり、その語源はラテン語の implēre(満たす)に由来します。 [1, 4, 5] つまり、「必要なものを満たして計画を実現する(道具立てを揃えて実行する)」というニュアンスが込められています。 [1, 10]

ニュアンス・使い方

implement は、政府機関や企業が公式に新しい計画や方針を導入する場面で好んで使われます。「新しい制度を実施する」「新しいソフトウェアを導入する」など、何か新しいものを現場に適用し、機能させるイメージです。carry out が単に「行う」ことを指すのに対し、implement は「計画されたものを具体的な手段を講じて実現させる」という、より積極的でフォーマルなニュアンスが強いのが特徴です。そのため、ビジネス文書やIT分野で頻繁に登場します。「計画の実行フェーズに入って実際に適用する」「システムに機能を実装する」といった場面に最適な単語です。

語源メモ

ラテン語で「満たす・実行する」という意味の言葉がルーツです。 [4] 英語ではまず名詞として「道具、器具」という意味で使われ始め、そこから動詞として「道具を与え、必要なものを揃えて実行に移す」という意味に発展しました。 [5]

例文と解説

Our company decided to implement a new attendance system to improve efficiency.
(当社は効率向上のため、新しい勤怠管理システムを導入することを決定しました。)

👉 implement a system で「システムを導入・実装する」という意味です。ITや企業運営の文脈で非常によく使われる表現です。

The government implemented a series of economic reforms last year.
(政府は昨年、一連の経済改革を実施しました。)

👉 implement reforms で「改革を実行に移す」という意味になります。政府が公式に政策を施行するというフォーマルな文脈にふさわしい単語です。

We need to implement the new strategy quickly to stay competitive.
(競争力を保つため、私たちはその新戦略を速やかに実行に移す必要があります。)

👉 implement a strategy は、ビジネス戦略を計画倒れにせず、現場レベルで適用し始めることを示します。

roll out ~「計画を(展開して)公開する」

新製品 発表 イベント

roll out(ロールアウト)は、「(新しい製品・サービス・計画などを)展開する、公開する、お披露目する」という意味の句動詞です。 [2] 元々は「巻いたものを転がして広げる」というイメージの言葉で、カーペットを広げるような様子から来ています。 [9] ビジネスやITの分野では、計画してきた新製品やサービスをいよいよ世に送り出す(ローンチする)という意味で定着しています。

ニュアンス・使い方

roll out は主に「新しいものを初めて本格的に展開する」場面で使われます。 [2] 例えば、新製品の発売、ソフトウェアの正式リリース、新サービスの開始、社内での新制度の全社展開などです。 [2] この表現には「徐々に広い範囲に展開していく」というニュアンスが含まれることもあり、段階的な公開を意味することが多いです。 [13] 例えば、まず一部の地域で先行販売し、その後全国に展開するようなケースです。implement が内部で「導入する」ことを強調するのに対し、roll out は顧客や市場といった外部に向けて「公開する・提供を開始する」ことを強く意識した表現と言えます。

語源メモ

roll(転がす)と out(外へ)を組み合わせた言葉です。 [2] 元々は物理的に何かを広げることを指していましたが、1950年代に航空業界で新型航空機を工場から初めて出して公開するイベントを rollout と呼んだことから、「新製品の初公開」という意味で使われるようになりました。 [16]

例文と解説

Our company is planning to roll out a new smartphone model next spring.
(当社は来春、新型スマートフォンのモデルを展開(発売)開始する予定です。)

👉 roll out a new product で「新製品を市場に投入する」という意味の典型的な使い方です。

The IT team rolled out the new software update to all users.
(ITチームはそのソフトウェアの新アップデートを全ユーザーに配信開始しました。)

👉 ソフトウェアのアップデートや新機能のリリースによく使われます。to all users(全ユーザーへ)のように、展開先を明示することが多いです。

The government plans to roll out a series of tax cuts over the next two years.
(政府は今後2年かけて一連の減税策を展開する計画です。)

👉 新しい施策を段階的に実施・公表していくニュアンスがよく出ています。

プロジェクトの段階と表現の使い分け

これまで見てきた3つの表現を、実際のプロジェクトの流れに沿って整理してみましょう。プロジェクトは通常、「計画」「実行」「展開」といったフェーズ(段階)に分かれています。 [6, 11] 各フェーズで適切な英語表現を使うことで、より正確に意図を伝えることができます。 [15, 17, 18]

プロジェクト管理 タイムライン

  • ステップ1:計画段階 (Planning)
    この段階ではまだ実行には移しません。「計画を立てる」(make a plan, develop a plan) や「戦略を練る」(develop a strategy) といった表現が中心になります。 [25]
  • ステップ2:実行段階 (Execution/Implementation)
    ここで carry outimplement が活躍します。計画に沿ってタスクを遂行していくのが carry out the plan。その中で、新しいツールや制度を現場に適用する場合は implement a new tool のように表現します。 [18]
  • ステップ3:展開・導入段階 (Deployment/Rollout)
    プロジェクトの成果物を本格的に展開する段階です。ここで roll out が使われます。社外の市場に新製品を投入する場合は roll out the product、社内に新システムを広める場合は roll out the system のように言えます。 [13]

つまり、carry out は計画全体の「遂行」、implement は計画の具体的な施策の「導入・適用」、そして roll out は完成したものの「公開・展開」という役割分担があると考えると分かりやすいでしょう。

「execute」との違いは?フォーマル度の比較

では、最初に思い浮かびやすい execute はどうでしょうか。execute a plan は「計画を実行する」という意味で間違いではありません。 [20] しかし、execute には他の動詞にはない「死刑を執行する」という強い意味があるため、文脈によっては注意が必要です。 [14] また、ニュアンスとしても「粛々と計画を実行する」といった硬い響きがあり、非常にフォーマルです。

それぞれのフォーマル度とニュアンスを比較表にまとめました。

表現 フォーマル度 主なニュアンス 主な使われ方
carry out 中立 指示や計画通りに「遂行する」 調査、任務、実験など幅広く使える [24, 28]
implement ややフォーマル 新しい仕組みや計画を「導入・実施する」 [1] 政策、システム、戦略の導入 [10, 20]
roll out カジュアル 新製品やサービスを「展開・公開する」 [2, 7] 新製品のローンチ、アップデートの配信 [9, 13]
execute フォーマル 計画や命令を「実行・執行する」 [14, 22] 戦略、任務の遂行、契約の履行 [30]

その他の「計画を実行に移す」関連表現

最後に、これまで紹介した単語以外にも使える便利な関連表現をいくつか紹介します。

  • put ~ into action / practice: 「~を行動に移す/実践する」。机上の空論ではなく、実際に行動に移すニュアンスです。
  • bring ~ to fruition: 「~を実現させる、結実させる」。努力が実を結ぶような、少しフォーマルで文学的な表現です。
  • carry through (with): 「最後までやり遂げる」。困難があってもやり抜くニュアンスが強調されます。
  • make it happen: 「実現させる」。カジュアルで力強い表現。「やってのけよう!」という意気込みを示します。
  • realize / actualize: 「実現する」。夢やアイデアなどを現実にすることです。

まとめ

「計画を実行する」という一つのフレーズにも、英語には豊かな表現のバリエーションがあります。汎用性の高い carry out、公式な「導入」を意味する implement、そして新製品などの「展開」を表す roll out。これらの言葉が持つニュアンスや使われる場面を理解することで、あなたの英語はより正確で、プロフェッショナルな印象を与えるものになります。 [20, 21, 22] プロジェクトの段階に合わせてこれらの動詞を使い分けることで、話のどの部分について語っているのかが明確に伝わります。本記事で紹介した表現を参考に、ぜひ実務の様々なシーンで使い分けてみてください。