『世話をする』英語は? care だけじゃ不十分!ビジネスで差がつく英語表現

『世話をする』英語は? care だけじゃ不十分!ビジネスで差がつく英語表現

「この件、私が対応します」「新人の面倒を見てあげて」—。ビジネスシーンでも日常でも、「世話をする」「面倒を見る」「引き受ける」といった表現は頻繁に登場します。多くの人がまず “take care of” というフレーズを思い浮かべるのではないでしょうか。もちろん間違いではありませんが、実は “care” という単語だけでは不十分な場面や、状況によってもっと最適な表現がたくさんあります。 [1]

この記事では、英語初心者から一歩進みたいビジネスパーソンに向けて、「世話をする」にまつわる様々な英語表現を、ニュアンスの違いや具体的なシーンと共に徹底解説します。基本の “take care of” から、ビジネスで一目置かれる応用表現、丁寧な依頼の仕方まで、この記事を読めば「世話・担当」に関する英語コミュニケーションに自信が持てるようになるでしょう。

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「世話をする」の基本3表現: take care of / look after / care for

まずは基本となる3つの表現の違いをしっかり理解しましょう。どれも「世話をする」と訳せますが、コアとなるニュアンスが異なります。この違いを使い分けることが、表現力アップの第一歩です。

1. take care of ~:最も万能な「世話・対応」表現

“take care of” は、人や動物の世話から、仕事のタスク処理まで、非常に幅広く使える便利な句動詞です。 [2] 「ケアする」「対処する」というニュアンスが中心で、一時的な対応にも継続的な世話にも使えます。 [2]

  • 人・動物の世話: He takes good care of his baby. (彼は赤ちゃんの世話をきちんとしています。) [1]
  • 仕事・タスクの処理: “Could you prepare the meeting materials?” “Sure, I’ll take care of it.” (「会議の資料を準備してくれる?」「はい、私がやっておきます」) [2]

ビジネスの現場では、この “I’ll take care of it.” (私が対応します) は、何かを頼まれた時に「お任せください」というニュアンスで使える、非常に頼もしい一言です。 [2]

2. look after ~:見守り、面倒を見る

“look after” は、主に人や動物の安全に気を配り、継続的に面倒を見るというニュアンスで使われます。 [1] “take care of” と交換可能な場合も多いですが、「見守る」「留守を預かる」といった意味合いが少し強くなります。

  • Could you look after my dog while I’m on a business trip? (出張の間、犬の世話をしてもらえませんか?) [1]
  • It’s my turn to look after the kids tonight. (今夜は私が子供たちの面倒を見る番だ。)

一般的に、愛情を込めて世話をする “take care of” に対し、”look after” は義務や仕事として面倒を見る場合に使われる傾向がある、とも言われますが、厳密なルールではありません。 [2]

3. care for ~:フォーマルな「世話・介護」

“care for” は、特に病人や高齢者、幼児など、手厚いケアが必要な対象の世話をする際に使われる、よりフォーマルな表現です。 [2]「介護する」「看護する」といった意味合いが強く、日常会話よりは書き言葉や改まった場で使われることが多いでしょう。

  • Nurses care for patients in the hospital. (看護師は病院で患者の世話をします。)
  • He quit his job to care for his elderly mother. (彼は高齢の母親を介護するために仕事を辞めた。) [2]

注意点: 日常会話で “I don’t care for…” と言うと、「~はあまり好きではない」という意味になるので注意が必要です。 [2]

【比較表】基本3表現のニュアンスの違い

表現 コアニュアンス 主な対象 フォーマル度
take care of ケアする、処理する、対応する 人、動物、モノ、仕事 中(カジュアル寄り)
look after 見守る、面倒を見る 人、動物、モノ
care for 介護する、看護する 病人、高齢者、幼児 高(フォーマル)

ビジネスで差がつく! “take” を使った応用表現

“take care of” のように、”take” を使った句動詞には「引き受ける」「担当する」といったニュアンスを持つものが多くあります。これらを使いこなせると、あなたの英語はよりプロフェッショナルに聞こえます。

オフィス 先輩 後輩

take charge of ~:「主導権を握って担当する」

プロジェクトやチームを「取り仕切る」「リーダーとして担当する」という、積極的で力強いニュアンスを持つ表現です。 [10] 上司から「君に任せる」と言われる時や、自ら「私が指揮を執ります」と申し出る際に使われます。

  • 上司からの指示: I’m putting you in charge of the next project. (次のプロジェクトは君に任せるよ。) [10]
  • 自ら申し出る: Let me take charge of organizing the event. (そのイベントの取りまとめは、私にやらせてください。)

take responsibility for ~:「責任を負う」

何かに対する「責任を取る」という意味で使われる表現です。 [8] 特に問題が発生した際に、その責任の所在を明確にするフォーマルな文脈でよく使われます。 [8] しかし、前向きに「責任をもって担当する」という意味でも使えます。

  • 問題発生時: I will take full responsibility for this mistake. (このミスについては、私が全責任を負います。)
  • 前向きな担当: I’ll take responsibility for training the new employees. (新入社員の研修は、私が責任をもって担当します。)

take it upon oneself to do ~:「自ら進んで~する」

誰かに頼まれたわけではなく、自らの判断と責任で「進んで~する」という主体性をアピールできる表現です。 [11] ポジティブな意味で使われますが、文脈によっては「出しゃばる」と捉えられる可能性もゼロではありません。

  • She took it upon herself to create a manual for the team. (彼女はチームのために、自ら進んでマニュアルを作成した。)
  • He took it upon himself to inform the client about the delay. (彼は自らの判断で、クライアントに遅延の連絡をした。) [11]

take (someone) under one’s wing:「(後輩など)を面倒見る・目をかける」

親鳥がヒナを翼でかばう様子から来たイディオムで、経験の浅い後輩などを「庇護下に置き、親身に面倒を見る」という意味で使われます。 [12] OJTなどで指導役になった際にぴったりの、温かいニュアンスを持つ表現です。

  • When I joined the company, my senior manager took me under his wing. (私が入社したとき、先輩マネージャーが親身に面倒を見てくれた。) [12]
  • Could you take the new intern under your wing for a few weeks? (数週間、新しいインターンの面倒を見てあげてくれないか?)

【実践編】頼むとき・引き受けるときの丁寧な英語フレーズ

ビジネスでは、相手に敬意を払いながらスムーズに業務を依頼したり、快く引き受けたりするコミュニケーションが不可欠です。ここでは、丁寧な依頼と承諾のフレーズを見ていきましょう。

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丁寧に「お願い」するときのフレーズ

命令口調にならないよう、疑問文や婉曲的な表現を使うのがポイントです。

  1. Could you please …?
    「~していただけますでしょうか?」という非常に丁寧な依頼表現です。ビジネスメールなどでも頻繁に使われます。
    例:Could you please take care of this matter while I’m away? (私が不在の間、この件に対応していただけますでしょうか?)
  2. Would you mind -ing?
    「~していただくことは可能でしょうか?」と相手の都合を伺う、さらに丁寧な表現です。 [13] 直訳は「~するのを気にしますか?」なので、承諾の返事は “No, not at all.” (いいえ、全く気にしません) となります。 [14] 例:Would you mind looking after our clients until I get back? (私が戻るまで、クライアントの対応をお願いしてもよろしいでしょうか?)
  3. I was wondering if you could …
    「もしよろしければ~していただけないかと思いまして…」という、非常に控えめで丁寧な切り出し方です。 [5] 少し頼みにくいことをお願いする際にクッション言葉として有効です。
    例:I was wondering if you could take charge of the presentation on my behalf. (もし可能でしたら、私の代わりにプレゼンを担当していただけないでしょうか。)

快く「引き受ける」ときのフレーズ

頼まれごとを引き受ける際は、ポジティブな返事をすることで、相手に安心感を与え、信頼関係を築くことができます。

  1. Sure, no problem.
    「もちろん、問題ないですよ」という、幅広く使える万能な返事です。 [14] カジュアルにも丁寧な依頼にも使えます。
  2. I’d be happy to. / I’d be glad to.
    「喜んでやらせていただきます」という、非常に前向きで好印象な返事です。「お手伝いできて嬉しいです」という気持ちが伝わります。
  3. I’ll take care of it.
    前述の通り、「お任せください」という頼もしい一言です。 [2] 相手に「この人に任せれば大丈夫だ」という安心感を与えます。
    上司: “Could you handle this customer complaint?” (この顧客クレーム、対応してくれる?)
    あなた: “Sure, I’ll take care of it right away.” (はい、ただちに私が対応します。)

まとめ:シーンに合わせて「世話をする」を使いこなそう!

今回は、「世話をする」「引き受ける」に関する様々な英語表現を解説しました。「care だけじゃ不十分」という言葉の通り、”take care of” 以外にも状況に応じた豊かな表現があることをお分かりいただけたかと思います。

最後に、今日のポイントを振り返ってみましょう。

  • 基本の使い分け: 日常的な世話や仕事の対応は take care of、継続的な面倒見は look after、介護などフォーマルな場面では care for を使う。
  • ビジネスでの応用: リーダーシップを示すなら take charge of、責任を明確にするなら take responsibility for、後輩指導なら take (someone) under one’s wing が効果的。
  • 丁寧な依頼と快い承諾: 依頼は Could you please…?Would you mind -ing? を使い、引き受ける際は Sure, no problem.I’ll take care of it. で頼もしさを見せる。

これらの表現を覚えるだけでなく、実際のビジネスシーンで意識して使ってみることが上達への一番の近道です。ぜひ、明日の会議や同僚との会話から活用してみてください。